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3月4日

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(民間の?)原発事故調査委員会のニュースを聞いていて、怒りが込み上げてきました。

まるで事故当時の菅首相の判断が問題を悪化させたすべての元凶であるかのような発表・・。

選挙の度に新しい顔のほうが期待値が高い、というだけでコロコロ首を挿げ替え続けた首相が誰であれ、その言葉を、

東電や経済産業省の高官たちが素直に「はいそうですか」と言うことを聞いたわけでないはずです。

それを原子力安全委員会長の斑目氏は「首相に提言できるなど、それほど私の心臓は強くない、とヌケヌケと言ったとか。

確か新聞報道で斑目氏は事故当時現場に赴こうとした菅首相に「原発は大丈夫なんです」と(間違った)進言をしたと書かれていたと記憶する。

矛盾しているぞ・・・、原子力推進に傾いて、そこから仕事も利益も享受していた連中の責任逃れも著しい発表としか思えません。

 

そんなわけで、偉そうで申し訳ありませんが、あの酷い調査委員会の報告に代わって、素人の私が考えた原因を陳述させていただきます。

 

今回の原発事故の最大の原因は2つだと思います。

◆ ひとつは1960年代の原発導入当初の見切り発車の建造に伴う諸問題。

◆もう一つは、原発事業に伴う巨大なお金(マネー)の流れによる、政治家と官僚と企業と自治体と学者たちの利権と癒着と怠惰の問題。

 

まず、前者について。福島原発一号機は1960年代にアメリカのメーカーによって建造されたマーク1型という原子炉です。

当時、原子力発電はアメリカでも産声を上げたばかりで、原子炉の安全の検証がなされていない状態でした。

しかも日本には、原子力発電技術について詳しく知る人物がまだおらず、作られた原子炉を検証することのできる人間がいませんでした。

いわば原子炉の内部はブラックボックス状態のまま、日本での原子力発電が始まることになったわけです。

 

アメリカではその後、マーク1型の安全性が検証され、コンパクトさを重視したマーク1型は、冷却システムに異常があった場合、

水素爆発を起こしやすい(対処しにくい)構造であることが報告されました。

しかし、日本では、この報告を受けた後でも、ベント用の弁を設けたもののそれ以外の対処をしないまま、耐用年数40年以上、

使い続けてきたのです。

冷却装置がすべて止まることなどない、という過信と、津波を想定していない補助電源システムの地下への設置の愚行が

冷却不可に陥り、水素爆発、メルトダウンに陥った最大原因です。

 

次に後者の金(マネー)の流れについて。原発を巡る大きな金の流れは2つ。

国が電力事業に使う交付金などの年間一兆円規模の税金の流れと、献金費用すら電力料金に含めて徴収できる東電の金。

原発推進を支持する活動を行う者たちには、この金が流れ、またこの金を欲する人たちからの献金などが流れていたといいます。

この二つの金の恩恵に与っていた自治体、政治家、企業、大学の研究室、学者が山ほどいて、この金欲しさに

安全が確実に確保できない原発の危険性(水冷却でしか核反応を抑えられないとは!)を封じ込め、掲げた「原発は安全」というスローガンに

自ら足を絡めとられて原発推進を盲目的に支持するようになり、必要な安全対策をことごとく怠ってきたことが、

今回の原発事故をここまで悪化させた2つ目の最大原因であると思います。

 

これを許してきた環境を改善しない限り、つまり、この特定の人々の利益へ流れる「金」を監視するシステムを構築できない限り、

いくら新たな組織を作ったとしても、今まで同様に、やがてこの金の流れに巻き込まれ、(たとえ監視のために作られた組織であっても)

腐っていくことは目に見えています。

金欲しさに安全ではないものを安全と謳う。人の心はそんなに強くない。だから透明性をいかに確保するか、が重要です。

国の機関ではダメじゃないかと思います。すぐに保安院みたいにただの官僚の天下り先と化して、また東電から献金と役員の椅子などを用意されて

飼いならされてしまうことは目に見えているからです。

 

東電が無尽蔵に使える献金の源を断つことも絶対必要です。何故、献金までが電気料金の原材料費に加算できることが許されているのでしょう?

この電気料金の原材料費は、実際に発電に使う施設維持費や燃料に限定されるべきです。

無尽蔵に使える献金が政治家や官僚、原発関連企業、また原発を推進する大学や学者にバラマかれてきた結果、

事故後も東電をひたすら弁護し、原子力安全保安院や安全委員会、大学の“御用学者”がメディアに出て根拠のない「安全」を叫んで歩く有り様です。

 

また、競争相手のいない東電の、原発事故以降も変わっていない「潰せるもんなら潰してみな」的な態度はあまりにひどいと感じます。

全ては競争相手がいないから安全にも節約にも消費者の意見にも耳を貸さないのです。

かつての国鉄、或いは日本航空にも同じような態度がありました。東電が何の反省もなく今の体制のまま、などということは

許せることではありませんが、「国営化」というのも結果的に官僚の天下り組織に堕ちる可能性が高く、

それならば、送電分離や、電源開発に新規事業の参入を許可し、また地方の電力会社からも電気が買えるようにして、

競争させることと、電源予算の明細公開の義務を課したほうが東電のお尻に火をつけるには良いと思います。

 

国の電源三法についても用途の明細を公表すべきです。毎年1兆円規模の予算が流れているのですから、

そのお金が有意義に使われているかどうか、を監視できる透明性がどうしても必要だと思います。

 

40年前の建設当初のことはいまさらどうにかできることではありませんが、現在も続く原発関連のお金の流れを明らかにできれば、

安全を確保すべき組織が安全対策を軽視している事実や、学者らの良心に恥じる言動を封じるのに効果があると思います。